疾風のような救世主

以前、会社の車に乗って外回りをしていました。
カーナビも無く狭い路地を抜けたりして知らないところへ行かなければならず、同乗している同僚と周りを確認し合いながらの外回りでした。
ある日も豊田市のリフォームを調べつつ会社の車で出かけたのですが、何の問題もなさそうな道路で、先方の駐車場が見えてきました。
手前に低いブロック塀があったので、駐車場に入る際に後輪や車体を擦らないように気を付けなければと注意深くハンドルを切って進入していたのですが、いきなりガクンと衝撃があり、私も同僚もすぐには事態が呑み込めず呆然としてしまいました。
恐る恐る車から降りると、注意していたはずの後輪が溝に落ちていたのです。
道路と駐車場の境には溝があり、すべて蓋がはまっていたように見えたのですが、ブロック塀の死角になるところに蓋が無く、見事にそこにタイヤを落としてしまいました。
突然のことでどうしてよいかわからず、JAFを呼ばなければなどと思っていました。
その時にスクーターに乗った男性がすっと近くに停車して、私たちの車と溝を見ると「上がる」と言いました。
そして近くに落ちていたらしい板切れをタイヤに咬ませ「お姉さん、ゆっくりアクセル踏んで」と言うのです。
近くで心配そうに見ていた人にも声をかけ、一緒に車を押してくれました。
無事に溝からタイヤを上げることが出来ましたが、お礼を言う間もなく「じゃあ」と言って颯爽と去って行かれ、また私たちはしばし呆然としていたのでした。

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